おんころころせんだりまとうぎそわか
大日堂の石原です。
最近、祖母のことをよく思い出します。
私はおばあちゃん子で、祖母が大好きでした。(以下、おばあちゃんで…)
おばあちゃんは私が物心ついた頃から段々と視力が弱まり、小学校へ上がる頃には両眼ともに光を失っておりました。
まだ小学校に上がる前、今から思うと4~5才でしょうか…
私がおばあちゃんの眼になってあげなければ…と思っていて、いつもいつもおばあちゃんと一緒でした。
毎朝、初水と炊き立てのお仏飯をお供えして、朝のお勤めが始まります。
私もおばあちゃんの横にちょこんと座ります。
いつものお経が始まります。
般若心経だったのでしょうか。
最後まで一緒にお唱えすればお利口さんなのですが、終わりの方で…
「おんころころせんだりまとうぎそわか」「おんころころせんだりまとうぎそわか」
おばあちゃんが「ころころ、ころころ」言うものだから、もうおかしくておかしくて…
笑いをこらえるのに必死だったこと、たまに「ブーッ」と吹き出したこともはっきりと覚えています。
今思い返せば何と不謹慎なことでしょう。
そのお経は「薬師如来」様への御真言です。
当時、父がだんだんと視力を失っていく母親の為に「一畑薬師」さんで頂いて来た御札を、おばあちゃんは大切にお祀りし、毎日毎日、御祈願をしていたのです。
十三佛御真言
薬師如来には「おんころころせんだりまとうぎそわか」
そのことを知ったのは、ずっと後、このお仕事にご縁があってから…
今は薬師如来の御真言をお唱えする度にウルウルします…
……おばあちゃん……
合掌