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花

大日堂の石原です。

古いお墓を整理したいのですが…というご相談を頂き、先日、お客様とご一緒に山口県岩国市へ古墓整理の見積りに行かせて頂きました。

2月だというのに春のようなぽかぽか陽気で、順調に目的地に到着しましたが、安心したのも束の間、そこからお墓のある共同墓地までは、車一台がやっと登れるほどのくねくね道。
路肩を外すと谷に転がり落ちそうになります。
登ってみると、集落の方々が大切にご先祖様を祀られている様子で、お隣のお墓には、ほんの数日前にお参りされたと思われる新しいお花が手向けてありました。
ご依頼主様の墓地には、ご先祖様の夫婦墓や個人墓など、複数のお墓が並んでおり、トラックの搬入経路や階段の有無等々、粛々と確認を終え、登って来た道を何とか下りました。

次にご依頼主様より、「この近くにもう一か所、今のお墓よりもっと古い先祖のお墓があるんですが…」とのお話が。
数十年前までご先祖様が生活をされていた家の裏山を、落ち葉で足元が滑りそうになったり,トゲのある蔓に引っ掛かりながら登ると、我が家を見下ろせるところに、おそらく明治時代以前、江戸時代の頃のお墓と思われる、落ち葉に半分埋もれ、苔むした小さな石が数基ありました。
私達は、ずっとここに安らかに眠られ、代々子孫が営んできた家を見守ってこられたこの場所から、あえて掘り起こし、移されることはされないほうがいいのではないかと、古いお墓の前で感じました。
そこで、「お墓の周りの土を少し持って帰られ、先程のご先祖様とご一緒に納骨されたら如何でしょうか。いずれにしても、お寺様にご相談され、お性根抜きのお経を上げて頂きましょう。」とお伝えしました。

一度もお会いされたことのないご先祖様を粗末のないように大切に思われる、ご依頼主様のつなぐ思いが、心に沁みるいい一日でした。
お願いして良かったと思って頂けるように、丁寧なお仕事をさせて頂ければ…と思います。

合掌